医師臨床研修マッチング
日本の初期研修医のマッチング結果が発表されましたね。
第一希望にマッチした人もいれば、希望通りにならなかった人もいるかも知れません。
マッチングは、その病院に合った人がマッチするようになっています。
第一志望にマッチしなくてもマッチした病院があなたに本当にあった病院だと思います。
マッチングの選考に関わった経験を基に、病院側の考えていることを解説していきます。
そもそも第一希望マッチはどれくらい?
医師臨床研修マッチング協議会のホームページの結果を参照してみました。
これをみてみるとマッチ者のうち第一希望にマッチする人は、71.1%です。
アンマッチの人を含めると65%です。
3割の人は第2希望以下にマッチしています。
これが多いのか少ないのかは、人により感じ方が違うかもしれません。
しかし、皆様に伝えたいのは、「第一希望にマッチした人の方が必ずしも優秀というわけではない」ということです。
病院側はどうやって学生を選ぶ?
私も一度だけ前の病院で初期研修医の採用面接に参加させて頂いて学生を選ぶプロセスを体験しました。
多くの受験者から研修医候補を選ぶのは非常に悩ましいです。
多くの病院がみているのは
- 態度や性格
- 学生時代の活動
- 成績
だと思います。
態度や性格
おそらくマッチングで最も大事な要素は「態度や性格」です。
なぜならこれは研修開始後に教えることが非常に難しいからです。
そして研修医の態度は、同期の研修医にも影響しますし、それ以上に一緒に働くコメディカルの職場環境に影響します。
当たり前ですが医療は一人ではできないので、その人がどんなに優秀でも協調性がなかったり、コミュニケーションに難があると一緒に働くのは難しいです。
ただ、この態度や性格は評価が非常に難しいです。
基本的には面接時の応対、応募書類の志望動機を基に判断していますが、見学時の態度も重視している病院は多いのではないかと思います。
特に見学の申し込み時や見学の時に案内してくれる事務職員への態度とかも考慮されている場合があります。医師の前では良い態度しているが、事務職員へは横柄な態度をとっている学生はここで見抜かれると思います。
学生時代の活動
専攻時に学生時代の活動も重視していると思います。部活動やサークル活動を続けていたという情報は、協調性があることの評価になると思います。
主将や代表などの経験は、リーダーシップを測るのに役立ちます。
課外活動で、社会問題に取り組んでいる経験などは非常にプラスになると思います。
マッチングのためだけに活動をする必要はないと思いますが、自分がやってきたことをしっかりアピールするのが大事だと思います。
成績
学生のみなさんが一番心配しているのは成績じゃないでしょうか。
おそらく多くの病院で、成績は足切り的に使っているのではないかと思います。
医学的な知識は、研修医になってから学ぶことができるのでマッチング時点での知識量は医師としての素養にそこまで大きく影響しません。
そもそも学生レベルの知識ではいずれにしろ臨床現場では不十分で、研修医になってどれだけ勉強するかが大事です。
ただし、研修病院側としてはマッチ者が卒業試験や国家試験に落ちることだけは避けたいので、卒試や国試に落ちそうなレベルの学生を振り落とすのに成績を使っているところが多いと思います。
もちろん成績がよいことには越しませんが、成績と態度/性格ならば後者を優先する病院が多いと思います。
USMLEは必要?
TwitterでマッチングのためにUSMLEを取得する学生がいるということが話題になっていました。
USMLEとは、アメリカの医師国家試験で日本の医学部生も受験することができます。
私も医学部生の間にStep1とStep2 CKを取得していました。
しかし、おそらく多くの病院においてUSMLEはプラスにはならないのではないでしょうか。
米国での臨床留学を支援している病院(沖縄中部病院、亀田総合病院、手稲渓仁会病院など)では、USMLEはプラスにはたらく可能性があります。
多くの研修病院では、あわよくば研修医たちに初期研修後も残って後期研修も自分の病院でしてほしいと思っています。
一方でUSMLEを取得しているということは、アメリカに留学したいということなので自分の病院には残ってくれないだろうと判断される可能性もあります。
ということで、マッチングにUSMLEはそこまで有利に働かないと思います。
本当にアメリカへ臨床留学したくて、それを自分の売りとするならば受験するのはいいと思いますが、マッチングのためだけにUSMLEを取ることはいらないと思います。(勉強にはなるし、将来役立つ知識ではありますが…)
優秀=マッチではない?
研修医の選考で一番大事なのは、「自分の病院の雰囲気にあうかどうか」です。
病院の理念や方針にあっているかどうか。
研修医たちの雰囲気にあった人物かどうか。
同時に受験している同期になる人たちとの相性はどうか。
ということを総合的に判断しています。
マッチするかと、個人として優秀かどうかはあまり関係ありません。
なので最終的に自分の性格やキャラと合った病院にマッチするようになっています。
第一志望にマッチしなかった人も、最終的にはマッチした病院が自分に合った病院だと思うので研修を楽しみにしていてください。
さいごに
初期研修病院選びは大事です。
一方でどのように初期研修に臨むかということのほうが何倍も大事です。
本当に優秀な人間は、どんな環境でも自分のすべきことを考えて成長し続ける人だと思います。
医師人生は長いので、頑張りましょう。
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