美容師と家庭医

この4月に職場が変わり引っ越したため新しい美容院を探していました。

転居すれば新しい「かかりつけ」が必要になります。

ひとまずはHot Pepper Beutyを使って評判の良さそうな近場の美容院を探してみました。Webページを見てフィーリングで選んで行ってみるものの、「ここに決めた!」と思えず本日4件目の美容院を訪れました。

髪を切ってもらいながら「ここも違うな〜」と思ってしまい、ふと「美容院ショッピングをしている自分」と「ドクターショッピングをする患者」が重なりいろいろ考えてしまいました。

以下、髪を切られながら考察したことを記します。笑

実際の”美容院ショッピング”の体験は以下の通りでした

■1店目
美容院の雰囲気はおしゃれで、30代半ばの男性の美容師が担当してくれた。
初回特典でヘッドスパもついていて、カットの仕上がりもまぁ満足。

だけど担当してくれた美容師さんとの会話の波長があまり合わず。

決定的に嫌なところはなかった決め手に欠けてもう少し他も探してみようという結論に至る。

■2店目
メンズ専門というキャッチフレーズに惹かれて選択。

行ってみるとそこは美容院ではなく理髪店でした。
だけどいわゆる床屋とは違いおしゃれな雰囲気で、言われなければ美容院だと思う雰囲気でした。

担当してくれたのは20代くらいのお兄さん。

トークもよく、久しぶりにカミソリで襟足を剃ってもらい、カットの技術的には満足。

しかし、髪を切ってもらう時にお兄さんの手からタバコの臭いがしてアウト。(おそらく直前に吸っていた?)

それさえなければまた来てもいいと思ったので残念。

■3店目
3件目を選んだ時は当日「今日髪切りたい!」と思い立ったので当日予約が取れる店で検索。まぁまぁ口コミの評価も高いお店を選択。

いざ店に行くと・・・・

美容師3人とも中年男性

・・・・というかおっさん!?(年齢というより見た目の問題?)

お店の雰囲気もどことなく古さを感じる(良く言えばアンティーク?)

担当してくれたのは、40代前半くらいの清潔感のあるお父様
トークも当たり障りのない感じで心地よい。
カットの腕前は一番良かったかもしれない。

ただなんとなくお店が発する雰囲気を気に入れずもう少し探そうと。

■4件目
これまた思い立って当日予約。
前回の反省を活かして今回は在籍美容師の写真が載っているお店を選ぶ。

iPadを渡されアンケートに記入するよう促される。

今どき美容院のカルテも電子化か〜と思いながら記入を終えると担当の美容師が登場。

「当店は会員制なので、会員登録をお願いします」

メールアドレスとQRコードの書いた髪が隣のテーブルに置かれ「空メールを送ってください」と書いてある。

このアドレスに送ればいいの?QRコード読めばいいの?とか考えていたが、美容師さんからは説明がないため、自分でメールアドレスを打って空メール送信し、「送りました」と。

「じゃあ会員専用ページ作成しますね。」

その後髪型の希望など聞かれとカット開始。

他のスタッフが「ページできました」と報告に。

担当美容師はカットしながら「今ページできたみたいなんでメール確認してもらえますか?」と言う。

(え、今!?)と思いながらスマホを取り出す。

近眼でメガネ外しているから画面が見えず、画面を顔に近づける・・・。

その間も美容師はカットを続ける。

髪がめちゃスマホに落ちてくる。。。画面が髪だらけや。

しかもそれに美容師が気が付かない・・・。

「ここも無いな・・・」とこの美容院に通わないことを決意。

その後も
・メガネ渡されないままカット後の髪型確認される(目が悪い客だとちゃんと覚えていない)
・事あるごとにiPadを確認している
(予約確認していたのかカルテ記載していたのか不明だが、感じ悪い)
・トークが微妙すぎる。(内容、間のとり方共に)
・笑顔が無い

ということで、かかりつけ美容院決まらず。

■千葉の南で6年間通っていたの美容院は何が良かったのだろうか?
今思うと
・良いAccessibility
決して人気がないわけではなくいつも客がいるが、電話するとなんとかして予約をねじ込んでくれる

・ほどよいトーク力
ゴルフ、車、酒など趣味に合わせて話をしてくれる
当直や忙しさを気遣ってくれる(客の背景を聴取)

・意思決定支援
頭の形や季節に合わせて髪型を提案してくれる(Shared decision making?)
それは似合わないからやめておきなさいと言ってくれる(パターナリズム?)

・予防的介入やカウンセリング
当直が多かったり、外科で帽子をかぶっていると頭皮のコンディションが悪くなることを説明してくれる(頭を見て見抜かれる)
頭皮ケアの方法を教えてくれる(決して高いケア用品を売りつけずに自宅でできるケアを教えてくれる)
時々無料で炭酸で頭を洗ってくれたり必要なケアをしてくれる。

と、今思うといい美容院だったなと思います。

この時は、1店目でかかりつけに決めました。

決してカット技術が抜群に優れているわけではないけど、いろいろと自分の頭の形や頭皮のコンディションに合わせて方針を決めてくれるいい美容師だなーと感じたわけです。

これは、もしかしたら美容師の間では当たり前なのかもしれないけれど、それを顧客が実感していることが重要なのではないでしょうか。

そこで自分が美容院に求めている条件をあらためて考えてみる。

・Accessibility
距離的にも近い(自宅もしくは職場の近く)
予約が取りやすい(突発的に髪切ろうと思うことが多いため)
・意思決定支援:ややパターナリスティックに髪型を提案してくれる
自分の頭の形が悪いので、似合いそうな髪型や似合わなそうな髪型をちゃんと提案してくれると助かる。
・そこそこの技術力
形の悪い頭をカバーするカットの能力があればOK
・ほどよいトーク
人見知りなのでガンガン話しかけられるのは嫌。
だけどこちらの思ったこと話しにくいのも困る。

上にあげた条件でAccessibilityは、事前に想定できる(Webページ情報で)

しかし、他の3つの条件は実際に担当美容師と会わないと分からない。

そして、(自分にとっては)カットの技術力よりも美容師のコミュニケーションスキルや細かいところへの配慮(接客スキル)の与えている影響が大きいなと実感。

まさにカスタマーエクスペリエンス(CX)が大事ということではないか!!と感じたわけです。

もともと学生のころから「美容師のように何でも話せる関係性」がいい医師-患者関係なのではないかと言っていたのを思い出しました。

さて、医療の話に応用してみます。(上でもだいぶこじつけてますが・・・)

もちろん提供する医療の質は大切です。

同時に、患者のカスタマーエクスペリエンス、すなわちPatient Experienceも非常に重要です。

ひいては、それが継続的に受診したり、何でも相談しやすいという環境つくりにつながるのではないでしょか。(ContinuitiyやComprehensiveness)

そして、Patient Experienceはおそらく医師のトークスキルだけではなく、細かな一つ一つの配慮(扉を開けておく、椅子の向きを整えるなど)の影響も大きいのだろうなと想像しました。

医療もサービス業と言われると少し違和感を感じる部分もありますが、「患者さんの幸福のために」医療を提供するのであれば、医療機関を受診する体験が少しでも心地よいものであった方がいいですよね。

「健康」のためだから「あそこにいくと嫌な思いするが仕方ない」という医療機関になるよりも、「健康」のためになるし「あそこに行くとなんだかいい気分になれる」場所でありたいなと思います。

スポンサーリンク
雑記帳
スポンサーリンク
シェアする
Tak-Andyをフォローする
Generalistの道

コメント

タイトルとURLをコピーしました