成人学習理論:こどもの教育から成人学習、そして自己調節型学習へ
今回は、教育・学びに関するネタです。
成人学習理論を知っていますか?
小中学校で行われる教育はいわゆる子供の教育(Pedagogy)です。一方で大学や社会人の現場教育などでは対象者が自立した成人なので学び方や教え方が異なります。大人に合わせた教育の理論が成人学習理論(Andragogy)です.
今回は、誰でも分かるように大切な要素を抽出しているので、正確性や細かい背景などは省略して概念をつかめることを目的としています。
この記事の目的
「成人学習理論に出てくる3つの~gogyの違いを説明できるようになる!」
今回説明するのは、Pedagogy, Andragogy, Heutagogyの3つです。
簡単に言うと
- Pedagogy:こどもの教育
- Andragogy:大人の教育(成人学習)
- Heutagogy:学習者が完全に自立した学び(自己調整型学習)
この3つの違いは「学びの主体」にあります。
学びの主体とは、、「何のために」「何を」「どうやって」学ぶかを誰が決めるのかということです。
図のようにPedagogy→Andragogy→Heutagogyに移るにつれて学びの主体が「教育者」→「学習者」に移って行きます。
Pedagogy:こどもの教育
例えば、高校の授業のほとんどは科目の学ぶ内容はカリキュラムで決まっており、教師が一方的な講義(Lecture)をするような形式でした。これは典型的なPedagogyであり、学習者は与えられたカリキュラムをこなし、決められた評価(期末テスト)で合格点を取るために勉強する。ここでは教育の主体は、教師であり、学習者は受動的に教育を”受ける”ことが多いです。
Andragogy:大人の教育
一方でAndragogyは、自分がやっていることで困ったこと(課題)を基軸にして学びを深めていく。例えば、研修や実習で担当した患者さんのプロブレムに関して生徒と指導医でスモールグループディスカッションを行う。これは、課題は学習者が設定しており、学びの方法も一方的な知識の伝授ではなく双方向的です。教師の役割は知識の伝授だけではなく、その場でのディスカッションや学びを深めるためのファシリテーターとなります。学びの動機は、目の前の課題を解決することであり、実用的な知識やスキルの習得を目指します。
Heutagogy:自己調節型学習
Heutagogyは、Andragogyの中に含まれることもありますが、学習者がさらに自律した状態です。学習の動機は自己を高めることであり、「将来の目標を達成するためには今自分が何を学ぶべきか?」と考え、自分で学習する内容、方法を考えます。教育者の役割は少なく、必要に応じて学習者へのフィードバックや学習方法の助言などコーチング的な役割を果たします。自分の学ぶことを自分でデザインするため自己調整型学習(Self-determined learning/Self-directed learning)と呼ばれます。
まとめ
主な比較点をまとめたのが下の表になります。
これらは、一概にPedagogyは良くない、AndragogyやHeutagogyが良いというわけではありません。初めて学ぶことは何を学べいいかもわからずPedagogy的に授業を受けた方が効率がよいこともあります。しかしながら習熟するにつれてPedagogy→Andragogy→Heutagogyと、学習者自身が主体的に学んだ方が効率もよいと考えられています。
あなたの学びは、どれに当てはまるでしょうか?
是非自分の学習スタイルを見直して、自分の学びを最大化できる方法を考えてみてください。
教育者の皆さん、自分の教育はどれに当てはまりますか?
相手の習熟度の合わせて”学びの提供方法”を変えてみましょう。
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