【2022年版】初期研修医が絶対に買うべきオススメ参考書11選〜病棟&救急編〜

医学教育

初期研修をはじめた皆様へ

 研修開始おめでとうございます!

 おそらく人生の中で最も記憶に残る2年間になるでしょう。

  • はじめて患者さんに感謝された日
  • はじめて自分の患者さんが亡くなった日
  • はじめて自分で告知をした日
  • はじめて採血に成功した日
  • はじめて診断をミスした日 

いいことも悪いことも全部はじめての経験で、とっても嬉しいし、つらいことがたくさんあるのが初期研修です。

そして、「三つ子の魂百まで」という言葉は医師人生にも当てはまります。初期研修で学んだことは、その後の医師人生に大きく影響します。なので今初期研修を始めた皆さんが少しでもよい医師人生がスタートできるように、私が役に立つと思う参考書をお伝えしたいと思います。

初期研修医たちから選ばれるBest teacher awardを受賞した私が、初期研修医が絶対に買ったほうがいいおすすめの教科書を紹介します。なにせ私が初期研修を始めたのは9年前なので少し古い本もあるかと思いますが、まだまだ役立つ本たちです。

 今回は救急外来と病棟で役立つ参考書を紹介していきます。

救急外来に役立つ本

研修医当直御法度 第6版 ピットフォールとエッセンシャルズ

かの有名な寺沢先生、林先生の名著です。僕は、初期研修が救急スタートだったので始まる前の日に頑張って通読しました。本気になれば1日で読み通せます。当然1日読んで覚えられませんが、何が書いてあったか、どんなトピックがあったかだけでも覚えていれば読み返せます。初心者向けに様々な鑑別ルールとかが載っていて救急をサバイブするにはもってこいです。頭部CTの適応、頚椎Xpの読み方、オタワアンクルルールなど何度見返したことか。とりあえずの一冊にはおすすめです。

問題解決型救急初期診療 第2版

こちらも少し古めですが、「主訴」からアプローチするタイプの救急のマニュアルです。「頭痛」「胸痛」などCommonな主訴に対して、どんな鑑別をあげて、どんな問診をして、どんな検査をしたらいいのかまとまっています。自分の中の症候別のアプローチを形付けるのにとてもおすすめです。

こちらも2022年2月に久しぶりに改定されて第3版が出たようです。

ERの創傷ーエビデンスと経験に基づくプラクティス

救急ローテでは、傷の縫合をたくさん経験すると思います。医学生の間にはあまり縫合について経験することは少ないので困ることは多々あります。どんな傷にどんな縫い方をしたらいいのか?糸はどれを選んだらいい?抗菌薬はいるのか?などといった疑問の答えが書いてあります。救急ローテや当直の際にはこの1冊を手元においておけば、縫合が怖くなくなります。

Primary-care Trauma Life Supportー元気になる外傷ケア

外傷患者を載せた救急車がくるとドキドキしませんか?もちろんどのレベルの救急なのかにもよりますが、交通事故患者を受け入れないことはないかと思います。JATECに則った初期評価ができるようになるのはもちろん必要ですが、「JATECってなに?」という研修医がほとんどだと思います。この本は本当に薄い本ですが、JATECの基礎が書いてあるのでこれを読めばひとまずの外傷初期対応が安心してできるようになります。しかもポケットに入れられるあんちょこシートがついているのがとっても良いです。お値段も医学書にしてはお手頃なので、研修医は買ったほうが良いと思います。

病棟で役立つ本

総合内科マニュアル 第2版

こちらは亀田総合病院の総合内科の先生たちがつくったマニュアル本で俗称「亀マニュ」です。ポケットサイズにまとまっていて、よくみる疾患の診断のポイントや治療のポイントなどがまとまっています。歴史ある亀田総合病院の総合内科の臨床の知恵が凝縮されています。僕も研修医時代は、この本をポケットに入れて参照していました。最近第2版に改定されて内容もアップデートされたのでおすすめです。

総合内科病棟マニュアル

 この本も日本版の総合内科マニュアルです。よくまとまっていて素晴らしい。これ一冊で病棟対応はたいてい対応できます。僕が研修医のときは、この本がなかったので、亀マニュとPocket Medicineを使ってましたが、最近の研修医はよくこの本を使ってます。上の亀マニュよりは分厚くサイズも大きめで少し重いのが難点ですかね。

アップデートされて、疾患別の管理がまとめられている「青本」と病棟業務全般の基本がまとめてある「赤本」の二冊校正になりました!

日本の状況に合わせた病棟管理のエッセンスが集約されていておすすめです。

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ジェネラリストのための内科診断リファレンス: エビデンスに基づく究極の診断学をめざして

かの有名な洛和会丸太町病院の上田先生の本です。徹底的に感度・特異度について調べて書いてあるので、この本1冊あれば国家試験で鈍りきった脳みそを現実世界に適応させることができます。主要兆候や疾患に関して、臓器別にまとめてあるのでとても調べやすいです。医学生にもおすすめしてます。僕も今でも手元において調べるのに使っています。

ホスピタリストのための内科診療フローチャート 第2版―専門的対応が求められる疾患の診療の流れとエビデンス―

この本も初期研修医、後期研修医に人気の本です。Commonな疾患に関して、対応の仕方をフローチャートに則って示してあるので、読んでから「こうしたらいい!」というのがわかりやすいです。第2版になっており、初版から改定されてより洗練されているのもポイントです。

Pocket Medicine: The Massachusetts General Hospital Handbook of Internal Medicine

一応僕が実際に初期研修医時代に使っていた英語のマニュアルも紹介しています。かの有名なハーバードの中核病院であるMGHのマニュアルです。極限まで略語を使ってあり慣れるまでは読みにくいのですが、慣れるとここまで読みやすいマニュアルはない!という感じの本です。将来留学を考えている人や英語を勉強したい人にはおすすめです。1〜2年ごとにちゃんと改定されているし、コンパクトなのに引用文献が書いてあるのが素晴らしいです。

一応日本語版もあります。個人的には強制的に医学英語を学ぶ環境を作るために英語版の購入をおすすめ。

心電図の読み方パーフェクトマニュアル―理論と波形パターンで徹底トレーニング! 

みなさん心電図苦手じゃないですか?僕もすごい苦手でした。しかも入院時にルーティンで心電図をとるので、入院患者をとるとかならず心電図をよまなければいけません。この本はタイトルの通りパーフェクトです。脈の異常、形の異常など様々なパターンの心電図異常に関して、なぜその波形になるのかということも合わせて解説してくれています。この本を片手に心電図を読めえばかなり力が付きます。僕は今は循環器は得意分野ですが、心電図に関する本はこの1冊でいいと思うほど買ったほうがよい本です。

ICU/CCUの薬の考え方、使い方 ver.2

初期研修中に重症患者を受け持つこともあるでしょう。ノルアドレナリンやドブタミンなど使えますか?昇圧剤や強心剤を使わなければいけないことも多々あります。鎮静や鎮痛できますか?この本は、それらの薬の薬理作用から実際の使い方まで細かく解説してくれています。一度は通読することをおすすめしますが、手元においておけば重症患者を受け持った時に安心です。

抗菌薬の考え方,使い方

初期研修で感染症をみないことはないでしょう。肺炎、腎盂腎炎、蜂窩織炎、胆嚢炎、虫垂炎、憩室炎・・・・・。これらの抗菌薬正しく選べますか?抗菌薬の種類ごとの使用上の注意点分かりますか?この本はかの有名な神戸大学の岩田先生の著書でとてもわかり易く抗菌薬について網羅的に書いてあります。一度通読すると頭の中が整理されます。

追記)2022年3月に第5版「抗菌薬の考え方,使い方 ver.5 コロナの時代の差異 」が発売されるようです!

レジデントのための感染症診療マニュアル 第3版

 青木眞先生の書かれた感染症マニュアルです。通称”青木本”と呼ばれ、この本1冊で感染症の疑問は大体解決します。診断方法から抗菌薬選択、治療期間などが各臓器別の感染症に関して網羅されています。辞典なみのサイズなので、通読するよりはその都度辞書のように調べる使い方がいいです。デスクに1冊置いておきたい本です。

おわりに

今回は救急と病棟に限って初期研修医におすすめの本を書いてみました。どれも僕自身が読んだことがあり、本当に役に立ったと思える本です。また他の本を思い出したら追記します。

 皆様の初期研修がより学び多いものとなりますように。

 そして1人でも多くの患者さんの幸せに繋がりますように。

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他におすすめの本などあれば、ぜひコメントなどで教えて下さい!

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