近年、医療のデジタル化が進展しており、特にプライマリ・ケアにおける遠隔ケアの重要性が高まっています。このAnnals of Family medicineにに掲載された論文では、Integrated Virtual Care(IVC)モデルに焦点を当て、患者の経験と満足度について詳しく調査しています。我々プライマリ・ケア医にとって非常に興味深いです。
Samantha Buchanan, Cayden Peixoto, Christopher Belanger, Douglas Archibald, Lise Bjerre, Jonathan Fitzsimon
The Annals of Family Medicine Jul 2023, 21 (4) 338-340; DOI: 10.1370/afm.2978
Integrated Virtual Care(IVC)モデルとは?
Integrated Virtual Careモデルは、従来の対面診療と遠隔診療を組み合わせたハイブリッドな医療提供モデルです。このモデルは、アクセスが困難な地域でもプライマリ・ケアを提供し、患者の満足度を向上させることができると考えられています。
調査方法
この研究では、Integrated Virtual Care(IVC)モデルを評価するために、カナダのオンタリオ州のRenfrew CountyでCross-sectionalなオンライン調査が行われました。調査対象は、IVCモデルを通じてプライマリ・ケアを受けた患者で、121人の回答が得られました。
調査は以下の要素を含んでいました:
- 家庭医と連携医療チームとの経験
- 家庭医への信頼
- IVCと以前の対面診療との比較
- 人口統計学的情報
- フィードバック
回答は4点Likert尺度で評価され、高いスコアが患者の満足度や医師への信頼を示していました。
患者は2つの分析グループに分けられました。グループAは以前に同じ家庭医にかかっていた患者、グループBとCは初めて遠隔診療で家庭医に会う患者でした。グループBとCは、遠隔診療を受けた経験が1人の医師であるのがグループB、2人以上の経験がある群がグループCに分類されました。この3群間の医師への信頼度と満足度に差がないかを検討しました。
調査の結果
この研究では、患者の満足度が非常に高いことが示されました。遠隔診療と対面診療の組み合わせは、従来の対面診療モデルと同等の満足度を提供できることがわかりました。さらに、患者が以前にかかりつけ医を持っていたかどうかは、満足度に影響を与えないことも明らかにされました。
未来への展望
この研究の結果は、Integrated Virtual Careモデルがプライマリ・ケアの新しい可能性を開くものであることを示しています。特に、医療が十分に提供されていない地域でのアクセス改善に貢献する可能性があります。
まとめ
Integrated Virtual Careモデルは、プライマリ・ケアにおける新しい方向性を提供するものであり、患者の満足度を高めることができることがこの研究で明らかにされました。医師として、このモデルを採用することで、より多くの患者に質の高いケアを提供する道が開かれるでしょう。
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