オーディエンスレスポンスシステム”Slido”を使ってみた

新型コロナウイルス感染症の影響で医学部のカリキュラムも変更を余儀なくされています。

医学部3年生を対象とした早期体験実習が中止となり代わりに授業を行ったのですが、一方向性の講義は退屈なので、Slidoというオーディエンスレスポンスシステムを導入してみました。

その感想と気付きを備忘録がてらまとめておきます。

オーディエンスレスポンスシステムについて

オーディエンスレスポンスシステムとは、講義者と学習者の双方向コミュニケーションを可能にするコミュニケーションツールです。いくつか種類があるので紹介シておきます。

■従来型の物理的キーパッドを用いたもの

KEEPAD

僕が学生の時は、これを使った授業がありました。導入コストがかかるし、キーパッドの配布・回収の手間がデメリットです。

講堂の座席に、キーパッドが埋め込まれているような教室もありますね。

■学習者のスマートフォンなどのデバイスを用いるもの

スマホが一人一台の時代だからできるテクノロジーですね。
インターネットを介して、アプリやWebサイトから投票や質問ができるシステムです。
こちらもすでにいくつかのものがあります。

Slido https://www.sli.do/
外国のサービスなので、ホームページが英語なのが一部の人には難点ですかね。
参加者はQRコードもしくは、講義ごとのコードをホームページに入力すると投票できるようになります。
質問も、フリーの入力や選択式、ワードクラウドなど様々な形式で用意することができます。
値段は、Basicプランは無料ですが質問は3つまで。有料プランは、個人アカウントなら月1000円となっています。

使い方は、こちらのサイトが参考になります。
オーディエンスレスポンスシステムsli.doの使い方

Mentimeter https://www.mentimeter.com
こちらも海外のサービスでHPは英語です。
リアルタイムで投票できて、結果を集計しながら表示できます。
無料で使えるプランがありますが、質問数に制限があります。
有料プランは月$9.99〜で、比較的リーズナブル。

レスポン https://respon.jp/
こちらは日本のサービスなので日本語サイトで使いやすいかもしれません。(僕は未使用ですが、他の先生が使っていました。)
できることは、Slidoと変わらず様々なアンケートや質問、出席管理ができます。
無料プランもありますが、質問数に制限があります。
有料プランは、高額なので個人でというよりは教室や大学単位で導入する感じですね。

他にもいろいろあるみたいなので、おすすめがあれば是非教えてください。

オーディエンスレスポンスシステムのメリット

■参加型にすることで学習者に飽きさせない
どうしても大人数の講義は一方向性になりやすく、聞いている学習者は退屈しがちです。
少人数のグループであれば参加者に問いかけることは容易ですが、大学の授業など大人数を相手にすると最前列の学生くらいにしか問いかけられず大部分の学生は聞いているだけになってしまします。
オーディエンスレスポンスシステムで質問を導入することで、すべての学習者に参加する時間が設けられることは大きなメリットです。
実際に学生からの感想でもSlidoの導入で双方向性だったことが好印象だったようです。

■問いかけをするトピックが学習者の印象に残る
学生の印象に残ったことをレポートに書いてもらったところ、オーディエンスレスポンスシステムを用いて質問したことが多かったです。
参加させることで注意を集めたり、考える時間を設けることで印象に残りやすくなるので、何を問いかけるかは教育者にとって重要なポイントです。

■匿名で発言や質問ができる
手を挙げてもらうことや質問を募るとどうしても”大人数の前でしゃべるのは恥ずかしい”という心理が(特に日本人の場合は)働いてしまい、疑問や意見があっても共有されないことが多いと思います。
匿名で質問や投稿ができると、普段はみんなの前で発言しないけど素敵なアイディアや質問を持っている学習者の意見を引き出すことができます。

最後に「何か質問がありますか?」と問いかけると

・・・・・・。

とシーンとしてしまうことがよくあると思いますが、オーディエンスレスポンスシステムで質問を書いてくださいと言うと様々な質問が出てきました。
その中からみんなの前で共有すべき質問を、講師側がピックアップできるのもメリットだと思います。

■意見やアンケート結果を残せる
サービスにもよるかもしれませんが、出た意見や投票結果のデータを抽出することができるので、講義の改善や教育研究にも有用かもしれません。

オーディエンスレスポンスシステムの注意点

■時間がかかる
参加者に問いかけて、入力結果があつまるまで待たなければいけないのでその間講義が中断されます。1つの質問につき3〜5分程度中断を要するので講義全体の時間を鑑みて、質問の数を考えなければいけません。
実際に学生からも、話が中断されることのデメリットについてコメントがありました。


■リアルタイムに結果を表示することのデメリット
講師側としては、リアルタイムに学習者の回答が表示されるのが非常に面白かってです。
しかし、先に回答した人の答えが前に映し出されると、同調圧力がかかって同じ回答を選んだり、奇抜な意見が出にくくなったり、他の人が意見を出しているから自分は答えなくてもいいかと言ったネガティブな力が働いてしまいます。
スクリーン上にリアルタイムに結果を表示する場合と、全員が回答し終わってから結果をスクリーンに表示するのと使い分ける必要がありそうです。

■デバイスに不慣れな人たちへの配慮
これはどんなテクノロジーを使うときにも言えることですが、デバイスやテクノロジーに不慣れな人への配慮を忘れないことが必要ですね。学習者・参加者の層に合わせて、使うテクノロジーを選ぶ必要がありますし、人手があればサービスを使えてない人をサポートするスタッフの配置が必要です。

■講義を聞いている人の割合がリアルに分かってしまう
これは余談ですが、最初は9割の回答率だったのが講義が進むにつれて、6割、3割と減って行きました。これは自分自身の講義の進め方や講義時間が長かった(90分×2コマ連続)ことも問題でしたが、明らかなに参加率が下がっていることを数字で突きつけられるのはなかなか辛かったです。(笑) 参加率がモニターできるのはメリットでもあるのでしょうけど。



まとめ
オーディエンスレスポンスシステムは、
・双方向性で参加を促進するのには非常に有効!
・質問数やリアルタイムの結果の表示には注意が必要!
・参加者の層に合わせてどのテクノロジーを使うか選ぶ!

5月にまた総合診療科の講義があるので、今回の反省を活かしてブラッシュアップしたいと思います。

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