インフルエンザの診断と治療(Am Fam Physician. 2019 Dec 15;100(12):751-758.)

そろそろインフルエンザ患者の診療をする機会が増えてきましたね。
インフルは診断や治療に関して患者と医療者の思惑の乖離があったり、感染拡大を防ぐことと仕事を休ませることのバランスだったり頭を使うし、数も多くくるので大変ですよね。
そんなことを思いながら今月のAFPを見ていたら”Influenza: Diagnosis and Treatment”というタイトルのReviewが載っていたので、知識のアップデートがてらまとめてみました。
■重要なポイント
・生後6ヶ月以降のすべての人には毎年インフルエンザワクチンを!
・抗インフルエンザ薬の使用は検査結果ではなく、臨床的判断に基づいて行う
・迅速検査は、マネジメントの結果を変えうる時にのみ行うべし!
・重症患者やハイリスク患者は、発病からの時間に関係なく抗インフルエンザ薬投与を(早期の方が効果は高い)
・抗インフルエンザ薬は症状の程度や期間を短くするが、使う場合は発病48時間以内(理想的には24時間以内)に開始。
・妊娠中(産褥期も含む)のインフルエンザの第一選択薬はタミフル
■インフルエンザウイルスについて
インフルエンザは、マイナス鎖の一本鎖RNAウイルスでオルソミクソウイルス科に属する。
人間に感染するのは、A, B, Cの3種類だが、人以外に豚、鳥、馬にも感染する。
表面の膜タンパクであるHemagglutinin(HA)とNeuraminidase(NA)の種類によって分類される。(H3N2など)
<抗原ドリフトと抗原シフト>
・抗原ドリフト:HAやNAのアミノ酸配列がわずかに変化することで新規抗原性を獲得しアウトブレイクを起こす。これは毎年異なるウイルス株が流行する原因となる。(季節性インフルエンザ)
・抗原シフト:HAやNAの蛋白に大きな変化がもたらされ、新型インフルエンザウイルスが発生する。これが流行するとパンデミックとなる。
■疫学
年間罹患者数は、900〜1500万人(推計方法が2018年から変更になったらしい)
インフルエンザによる超過死亡者数は約1000〜10,000人前後と推定されている。
■感染
季節性インフルエンザは冬季に流行し、日本では11月〜12月に流行が始まり、4月ごろに収束することが多い。
潜伏期間:24-48時間
他人に感染する時期:発症する1-2日前〜発症後5-7日後まで
感染様式:咳嗽やくしゃみによる飛沫感染と介在物による接触感染がメイン。
■予防
米国では、ワクチンの禁忌がない6ヶ月以上のすべての人に予防接種を推奨。
(※卵アレルギーは、インフルエンザワクチンの絶対禁忌ではない)
インフルエンザワクチンには
・不活化ワクチン
・リコンビナントワクチン
・生ワクチン
がある。
日本で一般的に使われているのは不活化ワクチン。
生後6ヶ月〜8歳までは、4週以上あけて2回接種が推奨されている。
しかし、過去に2回以上接種歴があれば、1回接種でもよい(日本では一般的ではない)
生ワクチンは、点鼻で行えるメリットがあるがが日本では未承認。
こちらも日本では未承認だが、高用量の不活化ワクチンが65歳以上において通常量のワクチンより有効であるという報告がある(NNT=220) 
■リスク
合併症のある患者
・気道分泌物を排出できない患者(神経筋疾患、脳卒中など)
・喘息などの慢性肺疾患
・CKD
・慢性肝疾患
・心疾患
・免疫不全(HIV、移植、担癌患者など)
・19歳未満でアスピリンの長期内服をしている患者(おそらくライ症候群のリスク)
・代謝性疾患(DMなど)
・極度の肥満(BMI>40)
・鎌状赤血球症などのヘモグロビン異常症
ハイリスクグループ
・65歳以上
・5歳未満の小児(特に2歳未満)
・施設入所者
・妊婦、産褥婦
・アメリカン・インディアン、アラスカ原住民
■臨床症状
急性発症の咳嗽、発熱、筋肉痛、悪寒、発汗、倦怠感が2〜8日続く。
嘔吐や下痢などは非典型的だが、小児ではおこ歩こtが知られている。
小児や基礎疾患のある患者では、ウイルス性肺炎や二次性の細菌性肺炎を合併する。
呼吸器以外の合併症は稀だが下記のものが知られている
 心血管疾患:脳卒中、虚血性心疾患、心筋炎
 血液疾患:HUS、血球貪食症候群、TTP
 筋骨格系疾患:筋炎、横紋筋融解症
 神経疾患:ADEM、脳炎、脳症、ギラン・バレー症候群、ライ症候群、横断性脊髄炎
■臨床診断
・Clinical Prediction rule(J Am Board Fam Med. 2012;25(1):55-62.)
 発熱+咳嗽:2点
 筋肉痛:2点
 発症が48時間以内:1点
 悪寒または発汗:1点
低リスク(0-2点):LR 0.17
中リスク(3点):LR 0.83
高リスク(4点):LR 2.72
インフルエンザの迅速検査をするかどうかの判断に役立つかもしれません。
■迅速検査
結果がマネジメントを変えうるとき、または対象患者が入院を要するときに迅速検査の使用を検討する。
一般に使用されている検査は、特異度は高いが感度が低い。
PCRは感度が高いが、時間とコストがかかるので実臨床では使えない。
■治療
抗インフルエンザ薬の使用は、利益と害、コスト、患者の志向を加味して判断する。
健康な患者であれば、発症後24時間以内に抗インフルエンザ薬を開始すると最も効果が大きい。
効果としては、症状の持続期間を24時間程度短くし、重症度を下げると言われている。
外来患者では、抗インフルエンザ薬の使用は入院や死亡率の低下は示されなかった。
入院患者では、ノイラミニダーゼ阻害薬は患者の死亡率を低下させる可能性がある。
〜CDCとIDSAの推奨〜
・症状が重症の患者
・合併症のハイリスク患者
・入院患者
には抗インフルエンザ薬の投与を推奨する。
早期開始が望ましいが、上記患者群では発症からの時間に関わらず投与を開始してよい。
〜薬剤選択〜
Oseltamivir(タミフル)が重症患者の第一選択薬
経口摂取困難や腸管吸収に懸念がある場合は、Peramivir(ラピアクタ)静注で代用
吸入Zanamivir(リレンザ)は重症患者(エビデンスなし)や人工呼吸器患者、呼吸器疾患のある患者には用いない(気管攣縮を起こす可能性あり)
アマンタジンは、A型にしか効かない上に耐性の問題もあり推奨されない
Baloxavir(ゾフルーザ)は、合併症のない12歳以上の患者では使用を考慮してもよい。
妊婦はハイリスクなので、妊娠中〜産後4週まではOseltamivir(タミフル)で治療(妊娠中の使用の安全性のデータあり)
※イナビルに関しては、米国での採用がないため記載なし。
■予防投与
ノイラミニダーゼ阻害薬による予防投与は、限られた人たちに適応がある。
ワクチンの代用にはならないので、まずはワクチン接種を推奨。
・合併症のハイリスク患者では、暴露後48時間以内に開始
・ワクチン未接種者であればワクチン接種も同時に行う
・ワクチン接種が困難で(免疫不全など)、合併症ハイリスク患者には流行期間中の暴露前予防投与を考慮
・ワクチンを受けられないがハイリスク患者と接する機会のある人(医療従事者など)への暴露前予防投与
※詳しくは本文参照
〜感想〜
真新しいことはそんなにありませんが、知らなかったこともあり勉強になりました。
ゾフルーザに関しては、そこまでネガティブには書いてありませんでしたが米国での扱いはどうなんでしょうね。
この冬のインフルエンザ診療も頑張って乗り切りましょう!

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Generalistの道

コメント

  1. Tara Omar より:

    過去3年間のHiv病、特に苦痛で食べ難い、咳が悪夢、特に1年目この段階では、免疫系は著しく弱まり、日和見感染症にかかるリスクははるかに大きくなります。ただし、HIV感染者全員がエイズを発症するわけではありません。私は早期死亡を避けるためにARVを服用し始めましたが、いつか癒されると神に信じていました。Hivの特許として、チャンスを減らすために抗レトロウイルス治療を受けることをお勧めします。ウイルスを他の人に感染させることについて、数週間前、漢方薬によるHiv治療に関する情報が得られるかどうかインターネットで検索しました。検索で、Hivから癒された人の証言を見ました。彼女の名前はAchima Abelardでしたそして、他のヘルペスウイルスの特許であるTasha Mooreも、この同じ男性について証言しています。DrItua Herbal Centerと呼ばれます。私は証言に感動し、彼のEmail.drituaherbalcenter@gmail.comで彼に連絡しました。私たちはおしゃべりをして、彼が私に命じた薬草のボトルを私に送った。彼が私に指示したとおりに飲んだ。薬。私は彼に永遠に感謝しています。Drituaherbalcenter。ここで彼の連絡先番号+2348149277967 …彼は、彼が次の病気を治すことができると確信しています。緑内障、脳腫瘍、乾癬、白内障、黄斑変性、心血管疾患、慢性下痢、肺疾患。前立腺肥大、骨粗鬆症。アルツハイマー病、
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