透析はPCP(Pneumocystis pneumonia)のリスクになるか?

【背景】
PCPは、日和見感染症で有名で特にHIVなどの免疫抑制患者の肺炎で重要な鑑別となる。HIV以外では、血液腫瘍30.2%、臓器移植25%、
炎症性疾患22.4%、固形癌12.9%、その他9.5%と報告がある(Mayo Clin Proc 1996 Jan;71(1):5)
血液透析は、一般に免疫抑制状態と考えられるが、DynamedやUp to dateには、PCPのリスクとして透析とは明記されていない。
【検索結果】
①Scand J Infect Dis. 2014;46:704–711.
デンマークの腎代替療法を行った患者のレジストリ(Danish Nephrology Registry)を用いて1990-2010年までの患者を対象としたRetrospective cohort。
腹膜透析(PD)、血液透析(HD)、腎移植(RTx)それぞれの群と対照群のPCP発症率を比較した。
13296人の末期腎不全(ESRD)患者と244255人の対照群を比較した。
末期腎不全群全体では、罹患率比は60.9倍、PD群では発症は0例、HD群では29.9倍、RTx群では126倍となった。
→PDはPCPリスクとはならないが、HDはPCPのリスクになる。
しかし、HD群の中で免疫抑制薬を使用していた群がどれだけいたかは分からないため、純粋にHDだけでPCP発症リスクがどれだけ上昇するかは分からない、
②INFECTIOUS DISEASES, 2017, VOL. 49, NO. 2, 132–136
血液透析患者の喀痰中のPneumocystis Jiroveciiの保菌率を検討した論文。
HIV陰性の血液透析患者62名に高張食塩水ネブライザーを用いて誘発した喀痰をPCR検査でPneumocystis jiroveciiを検出。
喀痰中からP.jiroveciiが検出されたのは20.9%だった。
【結論】
血液透析患者では、一般人口と比較してPCP発生率が約30倍

(透析単独だけでリスクがどれだけ上昇するかは不明) 

コメント

タイトルとURLをコピーしました