外用ステロイド剤の使い分け・注意点【AFP Review】

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外用ステロイドの使い方

 湿疹や虫刺されやアトピーなど様々な皮膚病変に対してステロイドの外用剤をよく使うと思います。

 皆様はどうやって使い分けていますか?

 なんとなく知っている外用剤を漠然と処方してませんか?

 そんなあなたのために、2021年3月のAFPのReviewにまとまっていたステロイド外用剤の使い方をご紹介します。

ステロイドのクラス

 日本とアメリカでは、外用剤のクラス分けが微妙に異なるので、今回は日本での分類を記載します。商品名とクラスを一致させておくことが重要です。

クラス一般名主な商品名
Strongest
(ClassⅠ)
酢酸ジフロラゾン0.05%
プロピオン酸クロベタゾール0.05%
ジフラール、ダイアコート
デルモベート
Very Strong
(ClassⅡ)
ベタメタゾンジプロピオン酸エステル 0.064%
ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル 0.05%
ジフルコルトロン吉草酸エステル 0.1%
フルオシノニド 0.05%
アムシノニド 0.1%
モメタゾンフランカルボン酸エステル 0.1%
ジフルプレドナート 0.05%
酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン 0.1%
リンデロン-DP
アンテベート
テクスメテン, ネリゾナ
トプシム
ビスダーム
フルメタ, アズマネックス
マイザー
パンデル
Strong
(ClassⅢ)
ハルシノニド 0.1%
ベタメタゾン吉草酸エステル 0.12%
フルオシノロンアセトニド 0.025%
ベクロメタゾンプロピオン酸エステル 0.025%
デキサメタゾンプロピオン酸エステル 0.1%
デキサメタゾン吉草酸エステル 0.12%
デプロドンプロピオン酸エステル 0.3%
アドコルチン 
ベトネベート, リンデロン-V
フルコート
キュバール
メサデルム
ザルックス, ボアラ
エクラー
Medium
(ClassⅣ)
クロベタゾン酪酸エステル 0.05%
ヒドロコルチゾン酪酸エステル 0.1%
トリアムシノロンアセトニド 0.1%
アルクロメタゾンプロピオン酸エステル 0.1%
デキサメタゾン 0.1%
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル 0.3%
キンダベート
ロコイド
レダコート, ケナコルト−A
アルメタ
デカドロン
リドメックス
Weak
(ClassⅤ)
プレドニゾロン 0.5%
ヒドロコルチゾン酢酸エステル 1%
プレドニン
HCゾロン

こちらのページも参考になります。

https://www.fpa.or.jp/library/kusuriQA/03.pdf

外用ステロイドの剤形の選び方

外用ステロイドには、軟膏、クリーム、液剤、テープなどがあり、部位や病変の使い分ける必要です。

まずは、それぞれの剤形の特徴をおさえておくのが大事です。とくにクリーム基材が皮膚刺激性があることを知らない人も多いので要チェックです。

軟膏

 軟膏は、油脂性の軟膏と水溶性の軟膏がある。油脂性の軟膏はベタベタしていて、潤滑性がある。皮膚を覆い保湿する作用もあるので、乾燥している部位や角化している病変に向いている。添加物が少ないのでアレルギー反応を起こしにくい。毛髪がある部位や間擦部(鼠径、臀裂、腋窩など)は、皮膚の浸軟や毛嚢炎を起こすので避ける

クリーム・ローション

 クリームやローションは、水と油の混合したもので皮膚に塗ると蒸発するのでサラサラした使用感となる。クリームやローションは軟膏よりも毛孔は塞がない。ローションは毛髪がある部位に使いやすい。アルコールなどの添加物があるので、刺激性がありアレルギー反応などを起こしやすい。また、皮膚病変を乾かす作用もあるので浸出液がでているような病変にも向いている。

液剤

 塗り拡げやすく毛髪部位などにも使える。アルコールを含むものは刺激性があり、炎症が起きている部分や亀裂・びらんがある部位では痛みがでるので避ける。

剤形の選び方

 基本的にはどの剤形でも効果は同じと言われている。

 そのため、病変の部位により塗りやすいものを選ぶと良い。

  • 一般的には、軟膏もしくはクリーム
  • 頭部など毛髪部位は、ローションまたは液剤
  • 傷がある部分や炎症がある部分は、軟膏

患者は、軟膏はベタつくのでクリームやローションを好む傾向にある。使ってもらうのも大事なので、可能な範囲で患者の好みに合わせるのも大事なポイントである。

疾患ごとのステロイドクラスの選び方

 基本的には疾患ごとにどのクラスのステロイド外用剤を使うか決まっている。主なステロイド外用剤での治療が勧められている疾患とステロイドの推奨クラスを紹介する。

Strongest~Very strong(Class Ⅰ〜Ⅱ)

  • 円形脱毛症
  • アトピー性皮膚炎(難治性)
  • 水疱性天疱瘡
  • 円板状エリテマトーデス(Discoid lupus)
  • 異汗性湿疹
  • 角化性湿疹(Hyperkeratotic eczema)
  • 陰唇癒着症(Labial adhesion)
  • 扁平苔癬(Lichen planus)
  • 硬化性萎縮性苔癬(Lichen sclerosus)
  • 慢性単純性苔癬(Lichen simplex chronicus)
  • 黒皮症(Melasma)
  • 貨幣状湿疹(Nummular eczema)
  • ツタウルシ皮膚炎(Poison ivy)
  • 乾癬(Psoriasis)
  • 白斑(Vitiligo)

Strong~Medium( ClassⅢ〜Ⅳ)

  • 肛門の炎症
  • 皮脂欠乏性湿疹
  • アトピー性皮膚炎
  • 重症皮膚炎
  • 乳児肢端膿疱症(Infantile acropustulosis)
  • 重症間擦疹
  • 外陰部の硬化性萎縮性苔癬(Lichen sclerosus)
  • 貨幣状湿疹
  • 疥癬
  • 脂漏性湿疹
  • うっ滞性皮膚炎

Weak(Class Ⅴ)

  • おむつ皮膚炎
  • 眼瞼皮膚炎
  • 顔面の皮膚炎
  • 間擦疹
  • 肛門周囲炎
  • 包茎(Phimosis)

外用ステロイドの副作用

 外用ステロイド剤にも副作用があるので、おさえておく必要がある。ステロイドを忌避する患者もいるので、副作用とメリットをきちんと説明するのも重要である。

皮膚への副作用

  • 皮膚萎縮:易出血性、脆弱性、紫斑、皮膚洗浄、毛細血管拡張、潰瘍形成
  • 感染:皮膚感染症の悪化、乳児臀部肉芽腫、二次感染
  • その他:接触性皮膚炎、創傷治癒遅延、色素沈着、多毛症、光線過敏、カポジ肉腫の再活性化、リバウンド、ステロイド挫創、ステロイド酒さ
  • 眼病変:白内障、緑内障、眼圧上昇

全身への副作用

  • 内分泌:クッシング症候群、福神抑制
  • 代謝性:大腿骨頭壊死、成長抑制、高血糖
  • 腎・電解質:高血圧、低カルシウム血症、抹消の浮腫

外用ステロイドの使用量

外用ステロイドは、病変部に充分な量を使うことが重要である。使用量の単位はFTUと呼ばれ、大人の人差し指の指先〜DIP関節までが1FTUと定義される。1FTUは約0.5gで、この量の外用剤を両手掌分の面積に塗り伸ばすが適量と言われる。

処方が足りないと患者も使う量を控えて治療が失敗する可能性があるので充分量を処方するのが大切である。

塗る部位と1ヶ月の処方量の目安は表の通りである。

部位1回の使用量(FTU)1ヶ月分
(1日1回)
1ヶ月分
(1日2回)
顔面・頸部2.540g75g
体幹前面7105g210g
体幹後面7105g210g
片腕445g90g
片手(手掌+手背)115g30g
片側の下肢690g180g
片足230g60g

塗る頻度と治療期間

治療期間は、外用ステロイドの強さによる

  • Strongest:3週間以内
  • Medium~Very Strong:12週間以内
  • Weak:規定なし

 顔面、鼠径部や腋窩など皮膚が薄い部分は、1−2週間以内に留める。

 外用剤を塗る頻度は、1日1〜2回が推奨されている。それ以上頻回に塗っても効果は変わらないと言われている。

 ラップや手袋、被覆材(リント布)などを使ったほうが浸透は高まる。皮膚が湿潤していた方が浸透しやすいと言われているが、入浴後の方がよいかどうかはエビデンスがない。

おすすめの参考書

 今回はAFPのReviewの中から要点をかいつまんで説明しました。

 もう少し深く勉強したい人は、この参考書がおすすめです。ステロイド以外の皮膚外用薬の基本的なポイントについて学べます。そこまで分厚くないので通読ができます。

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参考文献

  1. Topical Corticosteroids: Choice and Application
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